松尾芭蕉の旅 おくのほそ道
俳聖 松尾芭蕉・生涯データベース
_
おくのほそ道 二十七
瑞巌寺の章段










十一日、瑞岩寺に詣 十一日、瑞岩寺に参詣した。
当寺三十二世の昔、真壁の平四郎出家して入唐、帰朝の後開山す この寺の三十二代目にあたる昔、真壁平四郎という人が出家して唐に渡り、帰国後、再興して禅寺を開いた。
其後に雲居禅師の徳化に依て、七堂甍改りて、金壁荘厳光を輝、仏土成就の大伽藍とはなれりける。 その後、雲居禅師の、徳によって人を善に導く努力により、七つの堂の建物が立派に改築され、金色の壁や仏前の飾りが光り輝き、仏の住む世界をこの世に実現する大寺院となったのである。
彼見仏聖の寺はいづくにやとしたはる。 かの見仏上人の寺はどこにあるのだろうと、慕わしい心持ちになった。
   
[ 旅のあらすじ ]
五月九日(新暦六月二十五日)、松島に到着した芭蕉は、まず、伊達政宗が再興に精魂を傾けた瑞巌寺[資料]に参詣し、各伽藍の拝観に時間を費やした。

曽良の随行日記に、「九日 (中略)午ノ尅松島ニ着船。茶ナド呑テ瑞岩寺詣、不残見物。(中略)ソレヨリ雄島(所ニハ御島ト書)所ゝヲ見ル(とミ山モ見ユル)」とあることから、実際には、松島湾、瑞巌寺、雄島の順にたどったことが分かるが、「おくのほそ道」では、瑞巌寺の章段が、九日の参詣日を二日後の十一日に虚構した上で、松島関連の末尾に記されている。


そうした背景には、自然の造形美と幽玄美を堪能した松島湾・雄島の旅と政宗ゆかりの瑞巌寺参詣を完全に仕切り、各々の章段を最大限に引き立たせるねらいがあった
ものと見られる。また、日光の章段では、日光山の参詣日が区切りのよい朔日(一日)であったことを印象づけるために、日光到着を、実際には存在しない四月三十日に虚構しているが、瑞巌寺の「十一日」も、月を初・中・末に分けて「中の一日」ということになり、日光の場合と同様の意図を窺わせている。
 
 
 




27
瑞巌寺

[語 釈]

十一日、瑞岩寺に詣
「十一日」については、上の「旅のあらすじ」参照。

「瑞岩寺」は「瑞巌寺」こと「松島青龍山瑞巌円福禅寺[
資料]」。「天台記」に天長五年(828)慈覚大師円仁の創建とある。はじめ天台宗青龍山延福寺。正元元年(1259)ごろ法身禅師(真壁平四郎)を迎え臨済宗円福寺となる。次代に宋の高僧大覚禅師を招聘。十三世紀末を頂点に東北最大の禅院として繁栄するが戦乱期を迎えて衰退。慶長九年(1604)、伊達政宗が自ら縄張りをし円福寺の再興に着手。慶長十四年(1609)三月二十六日大伽藍が落成し現在に至る。本堂(方丈)と庫裡は国宝。
当寺三十二世の昔、真壁の平四郎出家して入唐、帰朝の後開山す
「真壁の平四郎」は、法身禅師[資料]で、常陸国(現在の茨城県)真壁郡に生まれる。「入唐」、実際は宋に渡り、径山寺の無準禅師、仏鑑禅師無準師範に参禅。帰国後、諸国遍歴の旅中、松島の延福寺に滞在のとき執権北条時頼と遭遇。これを機縁に、臨済宗円福寺を開山、住持となる。
雲居禅師の徳化
「雲居禅師[資料]」は、天正十年(1582)伊予国(現在の愛媛県)に生まれる。俗称小浜氏で、把不住軒を号す。仙台藩祖伊達政宗および子忠宗の二代にわたる招聘に応じ、政宗が没した寛永13年(1636)の八月、五十五歳の時に摂津・勝尾山から徒歩で来松。瑞巌円福禅寺九十九代住持となり中興開山した。万治二年(1659)、七十八歳で没。

「徳化(とっか)」は、「徳のために善に移り変わる」意。
彼見仏聖の寺
「見仏聖」は見仏上人。伯耆国(鳥取県)の人。長治元年(1104)に松島の雄島に渡る。島内に篭り、法華経六万巻をひたすら読誦して法力を身に付け、鬼神を使い、奇蹟を起こしたと伝えられ、西行仮託の仏教説話集「撰集抄」にその超能力ぶりが語られている[資料]。

「見仏聖の寺」は、雄島にあった見仏堂(妙覚庵)。

< TOP >



「おくのほそ道」のテキストについて


本テキストは、俳聖 松尾芭蕉・生涯データベース
および、FLASHムービー「 おくのほそ道を行く」の副読本
としてLAP Edc. SOFTが制作したものです。




掲載しているデータとリンクについて

テキストデータや画像データの無断使用・転載を固く禁止します。

  
リンクを張られる場合は、下記アドレスを対象としてください。
  
http://www.bashouan.com


 

  
俳聖 松尾芭蕉・生涯データベース
 
おくのほそ道
 
生涯データベース目次
 

 
おくのほそ道 総合データベース
 
俳聖 松尾芭蕉・みちのくの足跡
 
総合目次
 


Copyright(C) 2004-2006  LAP Edc. SOFT.  All Rights Reserved.

 Maintained online by webmaster@bashouan.com
 
LAP Edc. SOFTのホームページ

 
LAP Edc. SOFTのホームページ