松尾芭蕉・おくのほそ道文学館
室の八島の章段

【出典】 俳聖 松尾芭蕉・みちのくの足跡  第17集「芭蕉と室の八島」  [文学館目録]
前頁 室の八嶋に詣す。同行曽良が曰、「此神は木の花さくや姫の神と申て富士一躰也。 次頁
大神神社・境内 浅間神社
大神神社は、天正12年(1584年)に皆川広照と北条氏直との戦いで焼失したが、三代将軍徳川家光が日光参詣で立ち寄った際、あまりの衰退ぶりを目の当たりにし、諸大名に多数の金品を寄進させるとともに、自らも社領三十石を献じ、杉の苗木一万本を寄進して社殿を復興させた。 大神神社は古来「室の八島」ともいわれ、境内の水を張った池の中に石橋や朱塗りの橋が架かった島が8つあり、それぞれに筑波神社、天満宮、鹿島神社、雷電神社、浅間神社、熊野神社、二荒山神社、香取神社が鎮座する。写真の社の祭神は木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。
○「芭蕉と室の八島」の「大神神社(室の八島)について」、「木花咲耶姫について」参照。
  
おくのほそ道 現代語訳
室 の 八 島
室の八嶋に詣す。同行曽良が曰、「此神は木の花さくや姫の神と申て富士一躰也。無戸室に入て焼給ふちかひのみ中に、火々出見のみこと生れ給ひしより室の八嶋と申。又煙を読習し侍もこの謂也」。将、このしろといふ魚を禁ず。縁記の旨世に伝ふ事も侍し。 室の八島に参詣する。同行の曽良が言うには、「ここの祭神は木花咲耶姫の神と申して富士山と同じ神です。咲耶姫は無戸室(うつむろ。四方を塗りふさいで、出入り口をなくした室)に入って火を放ち、不貞でできた子なら焼け死んで出産できないはずと身の潔白を誓い、燃え盛る炎の中、無事火々出見のみことをお生みになったことから、ここを室の八島と申します。また、室の八島の歌に煙を詠む習わしがあるのもこの謂れからです」と。それからまた、ここでは「このしろ」という魚を食することを禁じている。こうした縁起の趣旨が世に伝わることもあるようである。
  
曽良随行日記 (室の八島)
元禄2年(1689年)3月29日(新暦5月18日)・・・室の八島
原 文 現代語
一 廿八日
マヽダニ泊ル。カスカベヨリ九里。前夜ヨリ雨降ル。辰上尅止ニ依テ宿出間モナク降ル。午ノ下尅止。此日栗橋ノ関所通ル。手形モ断モ不入。
  
一 廿九日
辰ノ上尅マヽダヲ出。
 一 小山ヘ一リ半、小山ノヤシキ、右(左の誤り)ノ方ニ有。
 一 小田(小山のこと)ヨリ飯塚ヘ一リ半。木沢ト云所ヨリ左ヘ切ル。
 一 此間姿川越ル。飯塚ヨリ壬生ヘ一リ半。飯塚ノ宿ハヅレヨリ左ヘキレ、(小クラ川)川原ヲ通リ、川ヲ越、ソウシヤガシト云船ツキノ上ヘカヽリ、室ノ八嶋ヘ行(乾ノ方五町バカリ)。スグニ壬生ヘ出ル(毛武ト云村アリ)。此間三リトイヘドモ、弐里余。
 一 壬生ヨリ楡木ヘ二リ。ミブヨリ半道バカリ行テ、吉次ガ塚、右ノ方廿間バカリ畠中ニ有。
 一 にれ木ヨリ鹿沼ヘ一リ半。
 昼過ヨリ曇。同晩、鹿沼(ヨリ火バサミヘ弐リ八丁)ニ泊ル。(火バサミヨリ板橋ヘ廿八丁、板橋ヨリ今市ヘ弐リ、今市ヨリ鉢石ヘ弐リ。)
一 廿八日
間々田に泊る。春日部より九里。前夜より雨降る。午前7時半頃雨止んで宿を出る。間もなく降る。午後12時半頃止む。この日栗橋の関所を通る。往来手形も断りも入(い)らず。
  
一 廿九日
午前7時半ごろ間々田を出る。
 一 小山へ一里半、小山判官の城跡、左の方に有る。
 一 小山より飯塚へ一里半。木沢(小山市喜沢)という所より左ヘ曲がる。
 一 この間姿川(思川支流)越える。飯塚より壬生ヘ一里半。飯塚の宿はずれより左ヘ曲り、小倉川(
かつて、思川の栃木市を流れるあたりから上流域までは小倉川と称されていたが、現在は思川に統一されている)河原を通り、川を越え、惣社河岸という船着きの上にかかり、室ノ八嶋へ行く(乾ノ方五町ばかり)。すぐに壬生へ出る。(毛武<葵生。栃木市内>という村あり)。この間三里というが二里余り。
 一 壬生より楡木ヘ二里。壬生より半道(半里)ばかり行くと、金売吉次の塚、右の方二十間ばかり畑の中に有り。

 一 楡木より鹿沼へ一里半。
一 昼過ぎより曇り。同晩、鹿沼(より文挟<日光市文挟町>へ二里八丁)に泊る。(文挟より板橋へ廿八丁、板橋より今市へ二里、今市より鉢石へ二里。)
◇一里:約4km ◇一丁(町):約109m ◇一間:約1.8m


本文・曽良随行日記の現代語訳および句の解釈

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曽良随行日記は「俳聖 松尾芭蕉・みちのくの足跡」のシリーズ「芭蕉について」からそのまま

転記しています。
ただし、章段によっては、滞在日に合わせて元のテキストを分割して掲載しているのもあります。

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俳聖 松尾芭蕉・みちのくの足跡

第17集 芭蕉と室の八島


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