松尾芭蕉・おくのほそ道文学館
壷の碑末の松山の章段

【出典】 俳聖 松尾芭蕉・みちのくの足跡  第13集「芭蕉と多賀城」  [文学館目録]
前頁 壷碑 市川村多賀城に有。つぼの石ぶみは高サ六尺餘、横三尺斗歟。苔を穿て文字幽也。 次頁
芭蕉翁絵詞伝
芭蕉翁絵詞伝-壷の碑 義仲寺所蔵 (掲載許諾・第0009号)
  
「芭蕉翁絵詞伝」は、松尾芭蕉の研究と顕彰に生涯をささげた京の俳人五升庵蝶夢が、
芭蕉百回忌に芭蕉の伝記をまとめ、狩野正栄の絵をさし入れて義仲寺に奉納したもの。
  
○「芭蕉と多賀城」の「多賀城碑(壷の碑について)」参照。
多賀城政庁跡 多賀城碑
多賀城跡。多賀城は陸奥国支配の本拠地として神亀元年(724年)に創建された。陸奥国府と蝦夷の反乱を鎮める鎮守府が置かれ、陸奥出羽按察使・陸奥守および鎮守府将軍を兼任する国守が駐在した。 多賀城碑。市の北西部、多賀城政庁跡の一角にある。その創建時および後年の偽作か否かについて長く論争されてきたが、近年の発掘調査の結果などから、現在は碑文の通り天平宝字6年(762年)の建立であると判断されている。
  
おくのほそ道 現代語訳
壷  の  碑
壷碑 市川村多賀城に有。
つぼの石ぶみは高サ六尺餘、横三尺斗歟。苔を穿て文字幽也。四維国界之数里をしるす。此城、神亀元年、按察使鎮守府将軍大野朝臣東人之所置也。天平宝字六年参議東海東山節度使同将軍恵美朝臣修造而、十二月朔日と有。聖武皇帝の御時に当れり。むかしよりよみ置る哥枕、おほく語傳ふといへども、山崩川流て道あらたまり、石は埋て土にかくれ、木は老て若木にかはれば、時移り代変じて、其跡たしかならぬ事のみを、爰に至りて疑なき千歳の記念、今眼前に古人の心を閲す。行脚の一徳、存命の悦び、羈旅の労をわすれて、泪も落るばかり也。
壷の碑は市川村の多賀城にある。
壷の碑は高さが六尺あまり、横幅は三尺ほどだろうか。碑を覆っている苔を払いのけてみると文字がかすかに読み取れる。四隅の国境までの里数が刻まれている。碑には続けて、「この城は、神亀元年、按察使・鎮守府将軍大野朝臣東人が設置したものである。天平宝字六年には、参議・東海東山節度使・鎮守府将軍恵美朝臣が修造した。十二月一日」とある。神亀元年は聖武天皇の御代にあたる。むかしから詠み込まれている歌枕は、数多く語り伝えられているが、山は崩れ、川は新たな流れをつくって道が改まり、いわれのある石は埋まって土にかくれ、銘木は老いて若木にかわるというありさまである。時がうつり、代が替わって、既に旧跡は不確かなものばかりとなっているのだが、ここに至って、疑いようもない千歳の記念物に出会うことができた。今、目の前に、ゆかりある古人の心を見極める思いがするのである。これはすべて行脚をしたお陰であり、命があったからこそと感じ入り、旅の苦労も忘れて泪が落ちるばかりであった。
末 の 松 山
それより野田の玉川・沖の石を尋ぬ。末の松山は寺を造て末松山といふ。松のあひあひ皆墓はらにて、はねをかはし枝をつらぬる契の末も、終はかくのごときと、悲しさも増りて、塩がまの浦に入相のかねを聞。 それから野田の玉川や沖の石を訪ねた。末の松山には末松山と号する寺が建てられている。松の木のすいたところは皆墓地になっていて、「はねをかはし枝をつらぬる契」を交わしても、その末にはこのように墓に入ることになると思うと、人のあわれを思って悲しみに暮れた。ちょうどこの時、塩釜の浦に鳴る鐘の音が聞こえた。
  
曽良随行日記 (多賀城)
元禄2年(1689年)5月8日(新暦6月24日)
原 文 現代語
一 八日
朝之内小雨ス。巳ノ尅ヨリ晴ル。仙台ヲ立。十符菅・壺碑ヲ見ル。未ノ尅、塩釜ニ着、湯漬など喰。末ノ松山興井野田玉川おもはくの橋浮島等ヲ見廻リ帰。出初ニ塩釜ノかま(お釜神社の写真)を見ル。宿、治兵ヘ法蓮寺門前。加衛門状添。銭湯有ニ入。
一 八日
朝の内小雨降る。午前10時頃より晴れ。仙台を立つ。十符菅と壺碑を見る。午後2時頃、塩釜に着き、湯漬け飯など食す。末の松山、沖の井、野田の玉川、おもわくの橋、浮島等を見物して帰る。
見物の前に鹽竈のかまを見る。治兵衛宅に宿す、法蓮寺の門前。加衛門の紹介状あり。銭湯有り、入る。


本文・曽良随行日記の現代語訳および句の解釈

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曽良随行日記は「俳聖 松尾芭蕉・みちのくの足跡」のシリーズ「芭蕉について」からそのまま

転記しています。
ただし、章段によっては、滞在日に合わせて元のテキストを分割して掲載しているのもあります。

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俳聖 松尾芭蕉・みちのくの足跡

第13集 芭蕉と多賀城


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